佐藤泰志と函館五部作の世界
2021.12.10 19時〜
先ほど公開され、各方面で非常に評価された斎藤久志監督の映画『草の響き』は、佐藤泰志の同名小説を原作に仰いだもので、実はこの作品は、佐藤の原作を、佐藤の出身地でもある函館を舞台に映画化するプロジェクトの第5弾でもありました。このプロジェクトは、熊切和嘉監督の『海炭市叙景』を皮切りに、呉美保監督の『そこのみにて光輝く』、山下敦弘監督の『オーバー・フェンス』、三宅唱監督の『きみの鳥はうたえる』と力のある作品が並び、さながらここ10年の日本映画の最前線を見るような思いです。
一方で、これだけ良質な作品が並ぶのも、ひとえに佐藤泰志の原作が魅力的であり、映画作家のクリエイティビティを強く刺激するからだとも言えます。
佐藤は生前何度も芥川賞などの候補になりながらも、正当な評価を得られることなく、41歳の若さで自ら命を断ちましたが、その17年後に『佐藤泰志作品集』が世に出ると、佐藤を知らなかった若い世代を中心にファンが増え、今ではその作品の多くが文庫本で読まれるようになっています。
今回開催する「佐藤泰志と函館五部作の世界」は、その佐藤文学とこれまでの佐藤映画を踏まえながら『草の響き』を劇場パンフレットの中で論じた「和雄はそれでも走り続ける」を書いたライターの小柳帝さんをお迎えし、佐藤文学・映画の魅力に迫る講座です。
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小柳帝
映画・音楽・デザイン・知育玩具・絵本などの分野を中心に、さまざまな媒体で執筆活動を行なってきた。主要な編・著書に、『モンド・ミュージック』、『ひとり』、『EDU-TOY』、『グラフィックデザイナーのブックデザイン』、『ROVAのフレンチカルチャー A to Z』、『小柳帝のバビロンノート 映画についての覚書1・2』、また、翻訳書に『ぼくの伯父さんの休暇』、『サヴィニャック ポスター A-Z』などがある。その他、CDやDVDの解説、映画パンフレットの執筆等多数。
なお、小柳自身が主宰するフランス語教室ROVAは今年で21周年を迎えた。現在、東京・鎌倉・京都で授業を行なっている。ecole.rova.com
- 開催日
- 2021年12月10日(金)
- 時間
- 19時〜
- 会場
- 誠光社
- ご参加費
- 1500円+1ドリンクオーダー
- 定員
- 25名さま