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アウト・オブ・民藝 第四回「複製芸術ー趣味の版画や出版物ーと民藝」 竹久夢二、料治熊太、山内金三郎の残したもの

アウト・オブ・民藝 第四回「複製芸術ー趣味の版画や出版物ーと民藝」 竹久夢二、料治熊太、山内金三郎の残したもの

2018.10.19 19時〜

「夢二が開いた港屋という店は、展覧会場に奪われた美術を、私たち一人一人の目の前に提供するというシステムそのものだったのです」(『大正イマジェリィの世界』序文・瀬尾典昭2010)

美術とデザインの間に「手仕事の複製」とでもいえるようなものがあり、その一部に「民藝」を見ることはできないだろうか。

『明星』(1904)に掲載した山本鼎の版画作品「漁夫」ではじまったとされる「創作版画運動」は江戸時代から続いた分業の版画と訣別し、自画自刷で「表現としての版画」を模索した。その運動は竹久夢二、恩地孝四郎、料治熊太、川西英ら、その後版画を志した多くの作家に大きな影響を与た。

明治後期に撒かれた創作版画の眼は、印刷技術革新の黎明期の大正時代に大きく花開き、様々な複製芸術が生まれた。

明治後期から大正昭和と同時期を生きた今回取り上げる人たちは「民藝運動」とは関係ないとされているが、実は様々な民藝文脈との関わりがある。

民藝運動合流以前の芹沢銈介は、農民美術運動(1919-/山本鼎)に影響を受け、ろうけつ染めをはじめている。

竹久夢二と富本憲吉は美術と趣味の店「柳屋」のアートディレクターとして活動し、雑誌『書窓』(1936/アオイ書房)では恩地孝四郎と民藝決別後の富本憲吉が仕事をしている。

雑誌『工藝』(1931-1951)が発行される1年前には、料治熊太の版画雑誌『白と黒』(1930-1934)があり、売れる前の棟方志功(柳発見は1936以前らを大きく取り上げていた。

工藝店たくみ(鳥取店が1932、東京は1933)ができる20年以上前に山内金三郎(山本鼎の大学の後輩)は大津絵、絵馬、郷土玩具等を扱う店「吾八」(1911)を大阪にオープンさせ、改めて東京に開店した「吾八」(1936-)ではその後、芹沢銈介、棟方志功、川上澄生らと晩年まで仕事をすることになる。

このような交錯する流れを、民藝運動が始まった時代の前後から考えてみたい。

キーパーソン

竹久夢二/料治熊太/山内金三郎/今村秀太郎/山本鼎/恩地孝四郎/川西英/川上澄生/三好米吉/志茂太郎/内田魯庵/松浦武四郎/坪井正五郎/エドワード・モース/蜷川式胤ほか

  • 軸原ヨウスケ

    1978年生まれ、岡山在住。「遊び」をテーマにしたデザインユニットCOCHAE(2003年ー)のメンバーでありデザイナー。伝統こけし工人とのプロジェクト、ドンタク玩具社でも活動。郷土玩具、こけしに興味を持つ。著書に『kokeshi book -伝統こけしのデザイン-』(青幻舎)2010年、『武井武雄のこけし』(pie international)2012年、『日本のおもちゃ絵 -絵師・川崎巨泉の玩具帖-』 (青幻舎)2014年など。折り紙パズル「ファニーフェイスカード」が日本グッドデザイン賞(Gマーク)2008受賞、『猫のパラパラブックス』(青幻舎)で造本装幀コンクール2013審査員奨励賞、『トントン紙ずもう』(コクヨWORK×CREATE)がグッドトイ2013選定など。近年は「岡山名物きびだんご」(山方永寿堂)などパッケージデザインを数多く手がけている。

    http://cochae.com/
    http://donduc.com

    (絵・いぬんこ)

  • 中村裕太

    1983年東京生まれ、京都在住。2011年京都精華大学芸術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。博士論文「郊外住居工芸論―大正期の浴室にみる白色タイルの受容」。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。最近の展示に「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」(森美術館、2013年)、「第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ」(クイーンズランド・アートギャラリー、2015年)、「第20回シドニー・ビエンナーレ」(キャレッジワークス、2016年)、「あいちトリエンナーレ2016」(愛知県美術館、2016年)、「東アジア文化都市2017京都」(京都芸術センター、2017年)など。工芸を作り手の視点から読み解き、その制作方法を探るプログラム「APP ARTS STUDIO」を運営している。

    http://nakamurayuta.jp/
    撮影|表 恒匡

開催日
2018年10月19日(金)
時間
19時〜
会場
誠光社
定員
30名さま
ご参加費
1500円+1ドリンクオーダー
(資料つき)
ご予約方法
E-mail:s-contact@seikosha-books.com
(参加ご希望イベント名、お名前、お電話番号をご記載ください)

または店頭、お電話にて承ります。