
『SUDIRU』刊行記念トーク 島村恭則×新城大地郎
2025.4.12 19時〜

祖父がひとりで撮りためていた宮古島の秘祭の写真を、孫でアーティストの新城大地郎が発見する。
そこから始まった「 スディル( 再生 )」を巡るふたりの長い対話が、コラボレーションの一冊として刊行されました。
刊行を記念し、かねてより岡本恵昭と親交をおもちの民俗学者・島村恭則さんと新城さんのトークイベントを開催いたします。
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岡本恵昭(オカモト・ケイショウ 1937-2024)は、宮古島に根ざした禅僧であり、民俗学の先駆者であった。1960年代後半より狩俣集落を中心にフィールドワークを開始し、柳田國男、折口信夫、西田幾多郎らの思想に影響を受けながら、沖縄の民俗文化を掘り下げた。
本書は、岡本が地方学(じかたがく)としての民俗学の実践の一環として、1960年代後半から1970年代後半にかけて撮影した、狩俣、島尻、池間島、西原、来間島、砂川の祭祀儀礼の様子を収録している。
研究資料という位置付けを超え、写真の本質を宿すように写っているのは、カミや自然に感謝し祈る人々の「あるがまま」の姿である。村落祭祀の空間は、外部の者はもちろん、集落の人々でさえ容易に立ち入ることのできない聖域であった。祭祀の尊厳を損なわぬよう、ハーフカメラを用いながら撮影された無私の記録── 外部からの観察でも完全な内部視点でもない ── には、 祭祀、自然、人々の営みが深く結びついた宮古島の精神世界が息づいている。真摯に祈るツカサたちの背中は、ただの風景ではなく、時を超えて生き続ける力強い「存在」として現れる。
また、孫でありアーティストの新城大地郎が、岡本恵昭の写真に藍や墨の書、ドローイングを重ねた作品も展開する。岡本の没後、著作とともに遺された写真、ノート、音源、遺物など貴重な学術資料は、新城によって大切に保管されていた。
岡本の記録したその過去と、新城が生きる現在が交差しながら、新たな「蘇り」を生み出していく。加えて、民俗学者・島村恭則による「岡本民俗学」への学術的考察、写真家・石川直樹による寄稿からも、その「再生」が織りなされる。
タイトル「スディル」は、宮古島の言葉で「再生」や「蘇り」を意味する。変化し続ける時代においても脈々と息づく、静寂とダイナミズムと美しさを含んだ精神文化。岡本恵昭と新城大地郎の対話を通して巡る「スディル」が、現代に生きる私たちに「根」を見つめる契機を与え、多様な文化や価値観が交錯する世界に、新たな視座から問いを投げかける。
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島村恭則 (しまむら・たかのり)
関西学院大学社会学部長・教授、世界民俗学研究センター長、文学博士。専門は、現代民俗学。1967年東京都生まれ。主な著書に、『みんなの民俗学』(平凡社新書)、『民俗学を生きる』(晃洋書房)、『日本より怖い韓国の怪談』(河出書房新社)、『現代民俗学入門』(編著、創元社)、『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(近刊、辰巳出版)などがある。
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新城大地郎 (しんじょう・だいちろう)
1992年、沖縄県宮古島生まれ。静岡文化芸術大学卒。禅僧で民俗学者の岡本恵昭を祖父に持ち、幼少期より禅や仏教文化に親しみながら書道を始める。禅のほか沖縄の精神文化を背景にして、伝統書道に新たな光を当てる自由なスタイルを追求。身体性と空間性を伴う現代的な表現で、形式にとらわれない書を展開している。2017年、Playmountain Tokyoで初個展「Surprise」を開催。その後、ロサンゼルスのALTA Gallery(2023年)など国内外で展示を行う。2021年にtricot COMME des GARÇONS、2024年にTAOのコレクションに作品が起用され、2021年にはエルメス制作のドキュメンタリーフィルム「HUMAN ODYSSEY」に出演。2022年には、地元宮古島に「PALI GALLERY」をオープンさせた。
- 開催日
- 2025年4月12日(土)
- 時間
- 19時〜
- 会場
- 誠光社
- 定員
- 25名さま
- ご参加費
- 1500円+1ドリンクオーダー
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