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waiting days
Photo & Text平野愛Insert TextTakuo
Day 4 / American Museum of Natural History , NY
朝から日が暮れるまで一つの博物館にいるなんて!夢みたい。たくおはとても忙しくしている。隙きあらばipadに日記。手にはNikonのミラーレス。広島で出会ったREADAN DEAT店主・清政さんにあこがれて同じカメラを使い始めた。見るもの全てを残そうとしているよう。
—- From Takuo’s Diary
“どうも4日目のたくおです。昨日は時差ぼけもあり、すぐ寝てしまいましたね。今日は4時半起きです。いつものぼくには早すぎる時間です。最近は朝起きたらもずくスープを食べています。朝温まるのはすごく気持ちいいですね。そして、ニューヨークに来てからというもの、ずっと曇天でしていつ雨が降るかも分りません。晴れていないので少し惜しいですね。明日まで曇天が続くようであと2日、辛抱ですね。少し長話が続きました。
今日は自然史博物館に行きます。てか向かっています。博物館はセントラル・パークのすぐ横にあるということで、セントラル・パーク沿いをUberで走っています(出前じゃないですからね。タクシーの方ね)。さぁ少し酔ったと思ったら着きました。想像以上に大きい建物ですね。この中に博物館が詰まっているとなるとワクワクが止まりません。保安を切り抜け、いざ本館突入!もうどこから回っていいのか分からないくらいの大きさなので、まずは1階のゾーンから。”
—- From Takuo’s Diary
“意味が分かりません。すごすぎます。本物みたいなはく製の動物達がいたり、当たり前のように恐竜の化石があったりもうなんなん?って言う感情で広ーい館内を周っていました。次から次へと目に入ってくる歴史的なもの達、初めて見るものに必死になっていて自分が周りからどう見えてるのかとか、しゃべれているのかとか、何にも考えず次!次!って見ていました。なんせレストランに行ったら天井蜂の巣ですもの。もちろん人工ですよ。この自然史博物館にいる時間だけ、アメリカのニューヨークではなく世界、いや…宇宙?にいたような気がします。そのくらい時や場所を越える空間でした。”
小さい時から自然が好きな子だった。週末は街を離れては川に入って森に入って、虫を掴んで草木を掴んで、走って登って、落ちて転んでた。博物館のあちこちを動き回っている彼の背中を追いながら、わたしはそんな昔の風景と、今の暮らしのことをひとり考えていた。そもそも旅先がニューヨークでよかったのだろうか。
都会の真ん中に住むことが、徐々に彼を疲れさせているんじゃないか。ルールの多さ、情報量の多さ、大きな建物、動き回り続ける機械的なものたちに。もちろん、これまで何度も問いかけてきた。するといつも決まって「え….いややで。引っ越したくない」って言うのだった。「だって、b…boぼくの実家やから」って。
あぁそうだった。ごめん。を繰り返す。大人になって何かに行き詰まると、すぐに別の世界へ引っ越すことや変化させることを考えてしまうようになった。もうちょっと待てればいいのに。それが難しい。なんでこんなに急いでしまうんだろうね。実家かぁ…。”ぼくの実家”…は大阪で、私の実家は京都で…。夫は奈良からなんだかんだ大阪に馴染んでいる。もしかしたらわたしだけどこにいるのか、わからなくなっているのかもしれない。ずっと子どものほうがしっかり地に足がついている。
ふと、横を見ると、仕事をサボって窓の外を見ている博物館清掃員の姿があった。
Photo & Text by Ai Hirano
Insert Text by Takuo