Fit in
waiting days
Photo & Text平野愛Insert TextTakuo
Day6 / Laundry – NBA
晴れ。やっと差し込む光!今日はこのニューヨークでたくおが一番楽しみにしてきたマディソン・スクエアガーデンでのNBA観戦の日。朝から心を落ち着かせるように、窓際のソファで日記を書いたり、YouTubeでお笑いを見たりしながらくつろいでいる。そんな彼をそっと置いて、私は一番やってみたかったことをすることにした。そう、洗濯!ランドリーに行くのだ。
6日間で着替えは底をついた。夫はボストンバック、私はバックパックに三人分の洗濯物を詰め込んで、タイムズスクエアを横切り、マンハッタンの街を歩いた。
土曜日の朝ともあってランドリーは激混み。まずはチケットを買うところから山場が来た。普段は夫が英語でいろんなコミュニケーションをとってくれているが、こういうせせこましいところはなぜか私の中から英語が勝手に溢れ出て来る。買い方がわからず近くの人に聞いて、どういうシステムなのかを教えてもらう。私たちの分量だと洗浄は2機に分けて、乾燥は1回30分。だけどそれでは半乾きだから2-3回くらい回すのがいいから先にチャージしておくんだよって。みんな近所の人のような感じ。とても親切。
約2時間。カフェにでも行こうかと思ったけれど、居心地がよくてそのまま待つことにした。漂う洗剤の匂い。乾燥機の暖かい空気。テレビの音。順番に譲り合いながら洗濯機を確保して、乾燥まで来た。回り始めた洗濯物。なんだか全部がとっても幸せだった。あ、生きてる、あ、生活を取り戻してる!って。
温かさの残る洗濯物を畳んで、再びボストンバックとバックパックに入れ込んだ。来た道を引き返す。たくおが待っている。街は急に輝いて見えた。
—- From Takuo’s Diary
“寒いニューヨークの夜を歩いていると一際明るい建物がある。ぼくらは今から「NBA」を見るんだ。NBAのチケットを買ったのは今年の9月、はっきり言って実感なんてない。
ぼくはバスケ部に所属しているが、2年の夏からほぼ学校も行ってなければ部活にも行っていない。だけどぼくはバスケが大好きで今、ニューヨークまで来た。テレビで見てきたリーグを今日見れるんだから緊張とかそういう次元を超えていた。まぁ人が多すぎて緊張する暇がないってのもあるかも。ぼくらは会場に入り、エスカレーターを登っていく。道中にある出店などは全て通り過ぎながら会場へ向かう。この時誰よりも早歩きになっていただろう。とても早歩きな母も追い越していたほどに。すると見えてきた夢の舞台、ドアからチラッと見えた舞台はあまりに鮮明に輝いていた。”
—- From Takuo’s Diary
“「目の前で…アップをしている!」「あっちではシュート練習!」「やばい…見るとこ多すぎてついていけん…!」こんなことを考えてました。流石に夢の舞台すぎて冷静になれるわけもなく、ただバスケを、NBAを、眺めていました。
ゲームスタートです。もうこの時点で試合が終わることが嫌でした。残そう残そうと必死で写真や動画を最初撮っていたのですが、前半が終わる頃にはカメラなんてしまって前のめりで試合を見ていました。実は後ろの人の応援がマジすぎて唾がめっちゃ飛んで来たので前のめりで避けていたのですが、それはいいでしょう。有名な選手や好きな選手がボールを持つたびに瞬きを止めて目が乾燥してても見てました。
実はこの時バスケのことも考えていましたが、他のことを考えていました。
これが世界なんだと。こんな途方もなく広く、可能性とか希望とかこれからの道なんてのはたーーくさんあって、決して今いる日本とか大阪とか学校とか関係がないのかもしれない。いくらでも道はあって、それはきっと悩み事とか嫌な道よりずっーと!多いと思うようになれたのかもしれない。確実に小さな世界から途方もないどの道も思いっきり走ってもいい世界になったと思う。
Photo & Text by Ai Hirano
Insert Text by Takuo